自主研究員が書く教育論文は違法かという論点を整理します

  • 2020年9月12日
  • NEWS

教育論文を書いたことのある教員の方々はたくさんいらっしゃいますよね。さて、市内の自主研究員が結局勤務時間外に嫌々論文を書くように迫られている事実はみなさんもご承知の通りだと思います。今回は、教育論文の作成は勤務時間内に絶対終えることができない無理ゲーだけど、それってどういう扱いなの?というテーマです。

もしこの論点で教員の労働事情を語るのであれば、黙示の残業命令というのがキーワードになると思います。

黙示の残業命令とは、業務量が通常の所定労働時間内で処理することが明らかに困難な場合は、業務命令を出してなくても業務命令を出したものと同じとみなされるということです。要は、勤務時間に終わらないような業務量をドーンと労働者にまとめて与え、勤務時間外に勝手にやったと言い張って残業代を回避しようとする行為は禁止ですよという労働法上のルールのことです。これは学校にも当然適用されています。公立学校は労働基準法の労働時間の項目が適用されているので、勤務時間を超える分量の仕事を教員に与えてはダメです。黙示の残業命令が成立してしまいます。

残業になっちゃうような分量の仕事を教職員に与えることは労働基準法違法であり、契約違反であり、黙示の残業命令です。

衝撃的でしょ?この超基本的なルール、全然守られていないでしょ。学校って無茶苦茶なんです。笑 さて、話を戻します。

今回は、校長、市教委、教育研究員に勤務時間内に終わるはずのない論文作成をどのように取り扱っているかということを明示してもらう必要がでてくると考えられます要するに、論文作成は業務命令であるのか、それとも任意であるのかということが論点になります。

論文作成は業務命令であれば、ほぼ間違いなく黙示の残業命令が成立する違法事例だと考えられます。あれが勤務時間に終わらないのは明白です。終えた者は誰一人として存在しません。勤務時間に終わるというのであれば、行政側はそのスケジュールを明示していただくことが必要です。任意であれば、それはまぁ勝手に自主研究員が勤務時間外に論文を書いたってことなので校長や教委への責任論は回避できますが、論文作成を任意であることを自主研究員にはっきりと伝えたかということが次の論点になろうかと思います。論文作成が任意であることを、研究員や校長もしくは市教委がはっきりと伝えている場合は、管理職、行政側に非はないでしょう。勝手に勤務時間外に論文を仕上げた自主研修員側に問題があると評価できます。

PS 不明瞭なことは確認するしかない。