現行の部活動について軽くまとめます。
1、生徒の自主的自発的な活動が最前提であるということ。
学習指導要領や、ガイドラインにもそう明記されていますよね。それにも関わらず、裁判では顧問教員に責任がある、しっかりみろと言われるわけです。子どもの自主的・自由的活動というんだけど、結局は部活顧問がフルに責任を負うという矛盾状態。またあとで裁判については触れます。
2、部活動は「教育課程外」であるということ。
現行の学習指導要領では、部活動について、学校教育の中で果たす意義や役割を踏ま え、「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する」ことについ て明確に示しています。 |
まず、教育課程は学習指導要領(法的拘束力あり)に基づく活動です。しかし、部活動は教育課程外に位置付けられています。すなわち教育課程外ということは、部活動は法律的に拘束されるものではありません。教育課程外活動とは、学校が自由に計画する活動であり、例えば休み時間・登下校・放課後の課外活動等といった裁量のある決定権を持った活動です。まとめると、
部活動は教育過程外だけど教育課程と関連がはかれるといいねといっているだけで、教育課程内の絶対やらなくちゃいけないものではなくて、教育課程外の「学校の自由裁量領域」にあるものです。
ちなみに小学校の部活に関しては、根拠となるものが一切ありません。それぞれの自治体が勝手にやっているだけです。
3、休憩時間はどうするのかという問題点
休憩時間が部活動に重なっている場合はどうするのかという問題点がでます。
労働基準法第34条-1
『使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。』 |
使用者は校長です。校長は絶対に休憩時間を部活顧問であろうとなかろうと、与えなければなりません。努力目標ではなく必ず行わなければならない項目です。
また、本人が休憩時間をいらないといったとしても、休憩なしの取り決めを結ぶこともできません。休憩時間放棄の口約束は無効です。重ねて休憩は必ず与えなければなりません。
労働基準法第34条-3
使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。 |
完全に自由に使用していい時間が休憩時間です。例えば、コンビニに菓子パンを買いに行ってもいいはずです。部活動が行われている間は休憩時間は自由に使えるのかという論点が生じます。
4、勤務時間が終わってからも活動がある。
教員の契約は16:55に退勤なはずです。部活の指導が18:15分まであるとしたら、それは根本的におかしくないですか?なぜ、契約外の時間まで、仕事をしなければならないのでしょうか。学校行政はこの問題に関して、(休憩時間も同様ですが)教員が自発的にやっているだけという理論を振りかざします。めちゃくちゃです。
5、裁判例からみると。
今回話が長くなりそうなので、簡単に書きます。いずれ、詳しく書く予定です。
何か子どもに大きな事故が起こり、訴えられたとします。普段から事故が起こらないように指導していたか、器具や備品をしっかりとチェックしていたか、人間関係の把握に努めていたか、実際にその場に顧問としていたか等、総合的に勘案されて判決が出されます。休憩時間中であろうとなかろうと、勤務時間中であろうとなかろうと、災害が起これば関係ないのです。生じた責任は「部活顧問」に向けられ、「部活顧問」が生徒にどのように指導したのかが問われます。
被害者や被害者家族からしてみれば、先生の勤務形態がどうだとかは関係ないってことです。例え教員の善意のボランティアで部活をみてもらっていたとしても、関係ないんですね。全て責任を負うということです。
基本的に教育行政は、部活動は教員の自主的な活動という理論で逃げます。あと、校長は責任を問われるケースもあるんですけど、校長がアウトになることは滅多にありません。顧問に責任はあるが、校長に責任はないみたいな感じで終わることも珍しい話ではないのです。
以上のような事情が分かると、部活動に関しては関わらない方がいいと個人的には思ってしまいます。しかし、管理職はこう言うんですよね。
「部活動全顧問制です!!何か必ず入ってもらいます」
もうね、学校の労務管理がこんなもんっていうのは本当に恥ずかしいですよ。ちなみに制度というからには、何か法的な根拠や契約的な根拠が必要だと思うんですが、部活動全顧問制について根拠は一切ありません。
ありもない仕組みを制度としてでっち上げているのが、部活動全顧問制の正体です。
なので、校長に「何を根拠にして制度と言っているんですか?」ときいてみましょう。そんなものはありませんから。
覚えておくといいのですが、基本的に部活動顧問は教員に「お願い」しかできません。部活動顧問は任意活動ってことにしないと、休憩時間取れない件とか、勤務時間後も部活が続く言い訳ができないからです。
さて、校長を論破した後、次の関門が待っています。周りの教員から白い目で見られるということです。職場の人間関係が天秤にかけさせられるわけです。自分が顧問をしなかったら誰かにしわ寄せがいくという「しわ寄せ理論」。
本日のまとめ。部活動問題は、泥沼。
ps執筆者は高校教師になりたかったのです。だけど部活動が嫌だったので、小学校の免許をとりました。その決断がよかったのかわるかったのか、たまにふと考えるのです。小学校教育の物足りなさを感じる中、どーでもいい重箱の角を突つきあっこしている小学校の研究授業なんかを見ると、これはこれで一種のコメディではないかと最近は達観するようになりました。