職場交渉のい・ろ・は

  • 2021年4月24日
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さぁ職場で「交渉」をしようとした時に、どこまで話し合うことができるのか?というの今回のテーマです。通常、公務員の場合は本交渉の前に予備交渉が行われ、どういったテーマで話し合うのかを確認します。

なんでもかんでも交渉できるわけではありません。少し言葉を覚えましょう。

義務的交渉事項・・・絶対に拒否することのできない交渉事項

管理運営事項・・・交渉を断ることのできる内容

です。

地方公務員法55条・・・地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」

義務的交渉事項を詳細に言えば、

「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」(菅野和夫著「労働法」)。

です。

・・・・難しい。笑

具体的に話し合いができることを列挙した方が早そうですね。

・賃金
・勤務時間
・残業
・休憩
・厚生的活動
当然これらの事項は一般的に考えても交渉の事由にあたります。

今の判例上では、勤務労働条件に「関連する」ものはすべて交渉の対象となることが確定しています。

それに対して、

地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は管理運営事項といい、拒絶することができるとされています。

なので、行政側(校長や教委)は

「これは、管理運営事項だから、交渉できないよー。」といって、逃げようとする人もいます。しかし、

職員の勤務条件に関する点がリンクしていれば、交渉は断れません。(超重要)

具体例を言います。

校長の「家庭訪問を行ってください」という命令に対し、交渉で異議を唱えることを考えたとします。

通常は管理運営事項なので、交渉できないような気もしますが、

・家庭訪問が休憩時間中も設定されている

・家庭訪問をすることで、教材研究の時間がとれなくなり、後の仕事が先送りになって違法残業が発生してしまう

・他にもやる仕事がいっぱいいっぱいの状況下であり、家庭訪問をやる余裕がない

といった場合は、職員の勤務条件に関する事項にあたるので、当然交渉できるわけです。

 

じゃあどういった時に管理運営事項になってしまうのかというと、

「全員が余力を持って仕事ができるとき」

じゃないですかね。

家庭訪問をやったとしても、教材研究や校務分掌仕事をやる時間が十分にあり、

全員が休憩を100%とることができ、定時で余裕で帰ることのできている職場であれば、管理運営事項になるんじゃないでしょうか。

よって、(重要!!!)

・校務分掌

・人事

・評価

・研修

・人事評価

といった、事項も交渉事由に入ります。管理職側は、「管理運営事項」と主張するかもしれませんが、不勉強です。

 

勤務労働条件に「関連する」ものはすべて交渉の対象となる。

 

というのを、確実に覚えておきましょう。

 

今の教員の労働事情は、休憩時間も取れない、違法残業もある、ブラック職場であることは、承知の通りです。

このような現況化であれば、どんな仕事を増やしても、そのままコップの水が溢れるが如く、職員の勤務労働条件に関連してしまいます。

なので、一見「分掌仕事」なんかも交渉事由に当たらない気がしますが、当然それによって違いが生じ、勤務時間を超えてしまうことが想定される以上、当然に交渉事由になります。

あとは、来年度の「希望する学年」とかも。転任した時に、ひっちゃかめっちゃかな最悪クラスを持たせられ潰され、泣く泣く休職するといったリスクも、事前に交渉しておけばよいのではないでしょうか。

そういった大変なクラスの場合に、教材研究や生徒指導で仕事内容が急激に増加し違法残業が発生するのは、十分に予見できます。

あとは、例えば子どもができたばかりでちょっと高学年は、、。というのも、十分に交渉事由になるのかなと個人的には思います。校長は当然安全配慮義務がありますので。

別に身の内を曝け出さなくても、交渉できます。そもそも校長は職員が安全に職場で勤務する環境を構築しなければなりません。

はずれの学年を押し付け、あとはよろしく!といった、最低レベルの校長事例があまりに多く、当たり前に見ているので私達は麻痺していますが、本来は校長が率先となって本質的なサポートをする必要があり、どのクラスを持ったとしても安全に安心して私たちが仕事をできるように環境を整えなければなりません。それは校長の職務です。全員が定時退校できるようにするのも、校長の職務です。

残念ながらそうなっていないので、交渉事項と認められます。

あとは「人事異動」。これも移動先が在校時間70時間越えばかりの全く労務管理をしない校長が管理していた学校だったら、当然に違法労働の不利益が発生しますよね。あとは、いきなり小学校教師が中学校に異動を命じられる事例とか。これも当然に違法残業が増えることが予想されます。こういった悲惨な現況下では、勤務労働条件に関する事項とリンクされるはずです。

今回、ブログを書いていて思ったことは、

勤務労働条件に「関連する」ものはすべて交渉の対象となる。

ということを主張するためには、普段から勤務時間を意識した取り組みをしていかなければならないんじゃないのかなと思いました。さくっと仕事をしてさくっと帰る。違法残業が発生したらその「取扱い」をきく。そういったことの繰り返しが職場交渉にもつながっていくんだなと。

ごめんなさい。わりと今回は真面目なブログでした。でも結構力ついてきたでしょ?

みなさん、すてきな土日をお過ごしください。